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「主題歌」柴崎友香

伊藤全記が本を貸してくれた。何か私に読んでほしいらしい。

映画になった「きょうのできごと」の原作になった小説を書いた人らしい。が、私はこの作家の作品を読んだことがなかった。


読んでみた。


淡々とゆるやかに時間が進んでいく。大きな事件は無く当たり前のように続く日々の中で時折、心が動く瞬間がある。

女の子がたくさん出てくる。舞台は大阪。登場人物は皆、関西弁。平仮名をあえて多用することでゆる～い本当のリアルな関西弁を表現している。大多数がイメージするような吉本の芸人が喋るこてこての関西弁はテレビの中にしか存在していないのだ。

主人公の女の子は、可愛い女の子を見るのが好きで雑誌や映画を見ては同じ趣味を持った職場の女の子とランチをしながらお喋りに花を咲かせる。

休みの日は女友達と知り合いの個展を見に行ったり。

仕事終わりに大学の同期と後輩で焼鳥屋さんで飲んだり。

突拍子もない企画をして彼氏を手伝わせたり。

音楽が好きでライブに行ったり。


『歌ってこうやって歌われるんだ』

本質的な歌への在り方への想いはちょっと共感した。あの瞬間にいたら、多分私もそう思う。

何となーく、全記が貸してくれたの分かる気がする。出てくる女の子達は私に少しだけ似てるのかなぁ？


by中山