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事故もなく、
取り返しのつかないようなアクシデントもなく、
無事公演を終え、ほっとしております。

堅苦しい挨拶代わりに、
公演前後の動きやら何やらを後悔するくらい公開。
うちの劇団丸裸っすw



小屋入り前日の水曜日。

劇場での最終稽古。
完成してからの初めての通し。
既にパンフレットには上演時間2時間と記載済み。
にも関わらず、実際は2時間15分。

せりふ憶えも、稽古内容も、ハードだったわけだ。
プロが上演する演目なわけだ。

そう脳裏に浮かび、
同時に思いました。

自分達はなんて過酷かつ無謀な挑戦をしているのだろうと。



小屋入り日の木曜日。

台風直撃。
JR・京浜東北線も、地下鉄・南北線も朝からストップ。
今回は、大仕掛けもあったため、
一分一秒無駄に出来ないのに。
でもスタッフさん、しっかり到着していて、助かりました。

夜の、場当たり・きっかけ稽古
(役者の位置・登場確認や、音や光や仕掛けのタイミングチェック)
退出時間が差し迫る中で、強引に切り上げるはめに。
慌ただしい中、大きなアクシデントなく、安心はしました。

劇場主さんの、台風による計らいを知ったのはその後でしたが、
慌てることなく退出出来て、とても助かりました。



初日である金曜日。

昼の、ゲネプロ。
リハーサルとは言え、お客様の居ない本番のようなもの。
そこに、撮影をしに、いつもの神が登場。
とても貴重な資料となっており、
当然、近いうち、公開させていただきます。
ありがとうございます。
そして、このゲネプロのクオリティは絶望ものでした。
セリフが死んでる。枯れてる。とにかく固い。
前々日の、最終小屋通しのほうが良質だったのです。
悔しくて悔しくて。
でも僕は、何も言いませんでした。
きっとみんな、分かっていたと思うから。

夜、五人芝居の幕開け。一回目の本番。
昼は頭が寝てたのか。
否、よく考えればブランクがある。
前日は場当たりで少し動いたくらいだったのだから。
にしても、である。
昼のウンコ・クオリティーと雲泥の差。一目瞭然であった。
まあ、1幕がやや固いのは否めなかったが。
「中毒性が強い団体」
「映画アメリカン・ビューティーのような衝撃」
「せりふ回し独特でINGらしい芝居」
「いつものダンスも見たい」
アンケートを見て、
この大いなる挑戦に打ち勝つ兆しが見えたのは確かである。

「バインダーが欲しい」とあったが、
クリア・ファイルを考えてみることに(笑



中日である土曜日。

前日にノアノオモチャバコ様よりメッセージが届いていた。
彼らの芝居を観て、この演目をやろうと決意しただけに妙な高揚感。

昼、二回目の本番。
前日のゲネは日曜ダイヤで慌ただしかったが、一時間遅い始まり。
役者もある程度頭働いてたようで、良かった。
効率の良いアップを各自が身に付け始めている証拠である。
とは言え、前半部、少々たるかった憶えあり。
「印象的な結末シーン」
「耳に気持ちよかった。満ち足りた」
「いつもと雰囲気違うが新鮮」

夜、三日目の本番。
「独特のくささあったが、楽しく拝見」
「14回目だからか味が出てきてる気がした。更なる発展に期待」
「古典ということだったが、今風でびっくり」
「豪快な演技で迫力あり」
「今回一人も死ななかった」
「変な形の舞台なのに、見やすかった」
「小屋を活かした演出」
「衣装良かった」
「臨場感あり」
「演出良かったが、ケツ痛く、2時間集中はきつい」
「演者の少なさ、セリフ数の多さに驚き」



楽日である日曜日。

昼、
日曜ダイヤで一時間早く開演するので、
疲れ溜まった皆にとってかなり朝は辛いところ。
日に日に声量が張り始めた輩に軽く注意。
「ちょこちょこ取り入れられた動きが良かった」
「舞台ではノーラって発音がむずい。ローラに聞こえてしまう」
「前半~中盤、つまらん。後半、超面白い」
「泣けた!」
「深みがあった」
「この芝居、今やる意味あり!」
「古と現が入り交じった構成、面白かった」
「あっという間の2時間」
「全編歌と踊りを見ているようでセリフが耳に入ってこない。意味なくゴロゴロ転がるのは劇団のポリシー?」

夜、
昼の芝居終わって1時間後にはお客様が来場し始める。
2時間超えの芝居だから、過去公演の動きで対応出来ない。
鬼、である。
舞台は、三幕でビースト・モード発動した輩を止めに。
昼の前に注意した人とは違うw
ストイックになることって難しい。
「話は簡単ながら、心情がダンスとはめずらしい。GOOD! 色々と凄い劇!」
「シザー・ハンズみたい!」
「完成度が高く、満足感あり。堪能!」
「年間200観るが当日券初めて。良かった!」
「引き込み続ける2時間」
「こういう古典が、INGの持つ身体表現技術と合わさると、新しい作品に感じる。もしこれを、綺麗に作り込んだセットでやったら、ここまで引き込まれなかったと思う」
「少ない人数ながら舞台端まで使用していて良い」
「ダンス少なめでちょっと残念」
「長ゼリフ多くてもさすがING」
「相変わらず熱い劇団」
「前回のが好き」
「古典シリーズ大好き」
「食い入るように見ていた」
「ダンスが多いよりこっちのほうが良い」
とても救われることが起きた。
我々を強く認めてくださり、
いつかとても大きなお力になっていただけるかもしれない御方に、
終演後、呼び出されたのです。
それはもう、一気に苦しみが吹き飛びました。
どうなるか分かりませんが、
とにかく我々は、毎公演毎公演、日々精進していけばいいのです。
様々なお客様を唸らせられれば。
演劇人の固定観念(うがった見方)もだいぶ緩和されてきて、
このままこの独特なINGスタイルが浸透すればいいなぁと思っております。
課題はプロモーション次第ですわ……。



後日談

ゴキブリがトイレの詰め替え用ペーパーの袋の中に居たり、
夜の回終わって小さいネズミが現れスッテンコロリンしたり、
もう、小屋付きさんが血眼すぎて、ほんと申し訳が^^;

ネズミくんのおかげで電気代は割り引かれ、
五人芝居で1800円設定で明らかに採算取れないのは分かっていたのに、
僕が思っていたよりもかなりマシな結果に、
劇団運営側としてもほっとする結果に。
まあ、赤字ですけどねw

デジカメ画像を千秋楽にもらい、皆に配布。
我々の守り神は仕事が早いのです!!!
ほんとに凄すぎる。

んで、そのゲネの画像を家で確認した中山から電話が!
「私、ありえないほどの、張り付いた笑顔」
楽しげなシーンである、普段のノーラであるはずなのに、である。

シアターコクーンで、シス・カンパニーの公演で、
堤真一扮するヘルメルの相手をした、
ノーラ役:宮沢りえ曰く、
「ひとり芝居のようにせりふが多くて、最初は不安で不安で、私をいじめてるんじゃないかと思いました。普通に来たオファーだったら、こんな難しい台本は読んだ時点で断ってました」とのこと。

まあ、そういうことである。



まずまずな評判で終えることが出来、
劇団が存続出来そうな気配がしてるので、
言えるのですが、

うちの古典シリーズにおける表現手法は
ある意味、誇張なので
非常にきめ細かいバランスが必要になってくる。
台詞に操られるのは駄目だが、
テンションに乗っ取られるのも駄目で、
ストイックに、自制して、
守りながら攻めていかねばならないと強く確信した舞台でした。

今回の総括として、
可能性を感じることは出来たし、
それがある程度のお客様に浸透したのではないだろうか。
それは評価すべきである。
しかし同時に、課題点も見えた。
それは、体力面。精神面。ともに。
そして、稽古環境はかなり整っていたほうではあったが、
これ以上の質を求めるならば、この環境ではきついということ。
そんなところです。



ご来場くださった皆様、ありがとうございました!
文句垂れずに頑張ってくれたスタッフさん、サンクス!
そして小屋付きさん、どうも、ありがとうございました。

劇団『ING進行形』主宰 ラディー
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