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この瞬間を観られたかたはどれくらい居るでしょう。

この瞬間を観られなかったかたはどれくらい居るでしょう。

私は、
この瞬間を生み出すための指揮者であり、

様々な者達が、
私のクレイジーかつ最高な、
わがままを、
脳内イメージを、
具現化しようと汗水・鼻水・涙を垂らした。

私はかつて、
これほど憎んだことはありません。

同時に、
これほど苦しんだことはありません。

これほど成功を願ったことはありません。

演劇にさよならをすべきか、
自分にさよならをすべきか、

私は絶望の中に、かすかな光を求めたのかもしれません。

私はやっぱり舞台空間の中で死にたい。



新橋演舞場に立った子供の頃。

北大路欣也演じる伊達政宗の幼少期、梵天丸に抜擢され、
わけもわからず小学校を欠席しまくり、公演していた頃。

私は、あの頃に戻りたい。ずっとそう思っていた。
医者の誤診がなければ、親は私に役者を続けさせていただろう。

だけど僕がもし、
役者を続けていたのなら、
絶対に、
この瞬間に立ち会うことは出来なかった、はずである。

リアリズム? くそ喰らえ。
生きた舞台? 俺は死神。そんな舞台、壊してやる。
死ぬ舞台! 死ねる舞台!!! 俺はその空間に骨を埋める。

血は立ったまま眠るのだ。

生きることにこだわり、
のうのうと過ごすくらいなら、
剥製に魂を入れてやる。
死の舞踏を演じさせてやる。

その死を乗り越え、息を吹き返し、生還せよ。
生まれ変われ。

これは、
一度地獄を見た人間が、
地獄を這いずり回っている者達へ届けるメッセージである。

さあ、楽日。
我々は、人形の家の稽古の地獄の日々から
解放されるだろうか。
甦ることが出来るだろうか。

しっかり気張ってくださいね!!!


by RADY KESHY
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